18/07/2017

サン・アートに見る社会主義国家ベトナムにおける芸術的政治学

ベトナムの南と北の首都 人口約800万人を抱えるベトナム社会主義共和国最大の商業都市ホーチミン、旧名サイゴン。かつての南ベトナムの首都が解放/陥落され、北ベトナムの英雄の名を冠された1975年から40年余を過ぎても、「ベトナム」と聞くと即「戦争」を想起させるほどの破壊的なイメージを流布させた内戦と冷戦は、同地では皮肉にも「アメリカ戦争」と呼ばれている。戦争の歴史が刻まれた統一会堂や戦争証跡博物館に並んで、フランス統治時代の面影が残る街並は、2018年に開通予定の地下鉄やらビルやらの工事現場で遮られ、慌ただしく行き交うバイクの騒音と路上で商う人々が発する南国的な開放感で満たされ、ここが東南アジア … 続きを読む サン・アートに見る社会主義国家ベトナムにおける芸術的政治学

08/05/2017

The University of Memory: Cambodia Reflections

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29/03/2017

ハノイにおける「現代アート」受容と2つの「ニャサン(家)」

ベトナム最初のコンテンポラリー・アートスペース「ニャサン・スタジオ」 ホーチミンを発ち、ハノイへ。ベトナムの首都であり、人口約700万を抱える政治と文化の中心地であるこの街の歴史は、11世紀李朝の時代にまでさかのぼる。ホアンキエム湖の北に広がる旧市街の通り沿いには古くからの商店が並び、街路にはいくつもの露店や調理場、工房が軒先から飛び出している。小さな路地という路地は移動式の舞台のようであり、人々はまるで劇の演者のように豊かな身振りで道を行き交う。バイクを停めて座席をシート代わりにしたままコーヒーを飲み新聞を読む男性たちや、路上の簡素なキッチンでお粥を売る女性。街路樹の木陰の下で床屋を営む若者 … 続きを読む ハノイにおける「現代アート」受容と2つの「ニャサン(家)」

14/06/2016

マレーシア・レポート / 権力を前に、民主主義は笑い続ける

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27/05/2016

アラフマイアーニ (インドネシア) への民主主義にまつわる十の質問

名前と肩書きを教えてください。 アラフマイアーニ。インドネシアのアーティストです。 より詳しく自分について話してください。 「クリティカル」と「マージナル」という単語は、わたしを理解するうえで重要な単語だと思います。子どもの頃からなぜかわたしは、自分の置かれた状況に対し、とてもクリティカル(批評的)な目を持っていた。そのせいで、わたしはよく「自分はまちがえた場所に生まれおちた」と思って、子どものころ泣きじゃくっていました。わたしはいつでも社会の暗部を眺めてしまう、どれほど平和に思える環境にあっても抑圧された苦しみを見抜いてしまう傾向があるんです。ですからバンドンで過ごした少女時代、わたしは自分 … 続きを読む アラフマイアーニ (インドネシア) への民主主義にまつわる十の質問

31/01/2016

インドネシア・レポート 第一部 /
西洋型「デモクラシ」と村落型「ムシャワラ(談合)」の矛盾

インドネシアの民主主義と現代芸術(特に身体をもちいた芸術)の連関性を調査する。厄介な視察課題であることは百も承知だった。すこしでもインドネシアに関する知識をお持ちのかたなら、この一文にはすでに、さまざまな概念的摩擦が含まれていることがおわかりだろう。まず、インドネシアという世界第4位の人口を誇る多民族島嶼国家の政治状況を、まるでひとくくりにできないという問題。第二に、コンテンポラリー・アートという横文字の概念が、かつての植民地国家において、なにを包括し除外するのか、という問題。そして第三に、「民主主義」というやはり西洋からの輸入概念であり、特にスハルトの軍事独裁以後、乱用・悪用されてきた政治ロ … 続きを読む インドネシア・レポート 第一部 /
西洋型「デモクラシ」と村落型「ムシャワラ(談合)」の矛盾

29/01/2016

インドネシア・レポート 第二部 /
現在進行形の1965年と「ラキアット(人びと)」の権利

状況は、スカルノの退陣でさらに悪化する。1965年9月30日、当時、陸軍大臣兼陸軍参謀長であったスハルトは、軍事クーデターを計画実行し、翌年2月、第二代インドネシア大統領の座に就く。彼は、みずからの政治的立場を安定させるべく、スカルノの支持基盤であったインドネシア共産党員とその同調者とみなされた中華系民族、インテリ層、労働組合メンバーなどをパージしはじめる。このパージには、西側諸国も影で助力したとも言われている。結果スハルトは、1年未満でなんと約100万人にも及ぶ括弧付きの「共産党員」を虐殺する。2016年現在も、犠牲者の遺族たちは、政治中枢で権力の座に就くリーダーたちに怯えて暮らしている。中 … 続きを読む インドネシア・レポート 第二部 /
現在進行形の1965年と「ラキアット(人びと)」の権利

10/01/2016

ファーミ・ファジール (マレーシア) への民主主義にまつわる十の質問

名前と肩書きを教えてください。 ファーミ・ファジル。作家、パフォーマー、政治家です。 詳しく自分について話してください。 気づいたら芸術と政治に、同時に興味を持ちはじめていたんです。98年頃ですかね。ちょうどそのころ、クアラルンプールの大学で芸術の勉強をしはじめ、演出家のマーク・テに出会い、彼とアート・コレクティブを結成しました。同じころ、学外ではいわゆる「レフォルマシ(改革)運動」が勃発していた。当時の副首相兼財務相アンワル・イブラヒムが政治腐敗に憤りを感じ、同じ不満を抱えていた約10万人の人々を率いて、マハティール政権の退陣を求めて市内で行進した。この運動を目撃したわたしは、まず、自分のな … 続きを読む ファーミ・ファジール (マレーシア) への民主主義にまつわる十の質問