27/06/2016

演劇への問い:感覚から覚醒する民主主義

2000年代に注目を集めた国際的演劇作品の多くは、劇場表現の基本条件に問いを投げかけるものだった。かつてモダニズムは「内省」行為に情熱を注いだが、これらの作品群は、自らを省みる行為をさらに一歩進めた。そうした方法論はジェローム・ベル、ウィリアム・フォーサイス、そしてリミニ・プロトコルをはじめとするアーティストの作品で、顕著に具現化されたといえる。彼らの作品は、振り付けられ、あるいは演劇化された表象を介して、舞台上にある身体とそれに臨む観客の知覚との、今までとは異なる演劇的対話を促した。もちろん、ハンス=ティース・レーマンが指摘するように、こうしたモダニストたちの知的介入に促された内省行為は、1 … 続きを読む 演劇への問い:感覚から覚醒する民主主義

22/06/2016

ソウル、開発熱に対抗する新たな場の生成

ソウルは力動的な都市である。変化の速さについては、他のアジアの都市も同様だが、過去50年余り、ソウルは「時間」を催促してきた。産業と経済が急速に成長した反面、その反動としての影も深い。戦後復興と経済発展を最優先することで、倫理と哲学は相対的に貧しくなり、もたらされた精神的貧困は今でもあまり変わっていない。私は大学に進学するために20歳でソウルに移住した。最初はこの都市のすべてが新しくて興味深かった。劇場や美術館などの文化施設に出入りしはじめ、バスに乗り、華麗な都市のいろいろなところを見て回った。ところがそのうち、ソウルという都市の速度が、自分の体には耐えられないほど息苦しいものである事実に私は … 続きを読む ソウル、開発熱に対抗する新たな場の生成